ドンキ~ホ~テ~♪
だケーン!
『ドン・キホーテ』を読んだことはあるか?
わざわざ読んだことはないだケーン。どうせ、昔の物語だからつまらないだケーン!
じゃあ、現在でいうライトノベルを大量に読み込んだ地主が、自らを異能力者だと思い込んで、全国で大暴れする話だと言ったらどうだい?
導入で作者セルバンテス登場、さっそく注釈のでっち上げを始める
だったら、でっち上げればいい。
そして、参照文献一覧についてが奮っている。
AからZにいたる作者の名前をざらっと並べている本を探し、それをそのまま転記する。
それぞれ、本文を引用してみようか。
さて次に、本の最後に注釈をほどこすという件だが、それは次のようなやり方をしておけば間違いないさ。例えば、君の本に誰か巨人が登場するとしたら、その名をゴリアテということにしておく。すると、君はもうそれでなんの造作もなく、大した注釈をつけることができる。こうすればいいんだ。「巨人ゴリアテ、もしくはゴリアトはペリシテ人なり。牧人ダビデ、テレビントの谷において、石投げ日もによるしたたかな一撃を見舞ってこれを殪(たお)せり。≪列王記≫の示せるところによる」としたうえで、≪列王記≫の章を探して書き添えておくのさ。
セルバンテス 牛島信明訳『ドン・キホーテ前編』pp19-21(アマゾンへリンク)さて次に、他の本にはあって君の本にはないという、参照文献の著者一覧の件にうつるとしよう。この問題の解決はいたって簡単だよ。だって、君がさっき言ったような、AからZにいたる作者の名前をずらっと並べているような本を一冊探してくれば、それで用は足りるんだから。つまり、そこに載っているアルファベット順のリストを、そっくりそのまま君の本に拝借するってわけさ。もっとも、もともと君はそんなものをほとんど利用しちゃいないんだから、それがいかさまだってことがすぐにばれるかもしれないが、ばれたところでいっこうにかまいやしない。ひょっとしたら、君の何の変哲もない単純な物語にも、これほど多くの作家が参照されているのかと思い込むようなおめでたい人間もいないともかぎらないしね。(中略)だいたい君が執筆にあたって本当にそうした作家連を参考にしたかどうか詮索しようなんてもの好きはいやしないから、大丈夫だよ。
セルバンテス 牛島信明訳『ドン・キホーテ前編』pp22-23(アマゾンへリンク)
ん?でもこれはレポートにも使えるのでは?
さらに面白いのが、セルバンテスの意図だね。「騎士道物語」というふざけたものが世間と大衆で人気になっているのでその人気を打倒するためにアンチ騎士道物語である『ドン・キホーテ』を書いた、というのさ。
マフィアを倒すためにマフィアになる!黄金の精神を感じるだケーン!
どうだい、読んでみたくなっただろう。
さっそく図書館に予約を……
あれ?翻訳も色々あるケーンね。どれがいいだケーン?
抄訳と言って一部分だけを訳した短いものもある。
だけど、全訳が一番いいと思うのでまずそれを紹介する。
ドン・キホーテおすすめの翻訳~岩波文庫牛島信明訳
- セルバンテス 牛島信明訳『ドン・キホーテ前編1』
- セルバンテス 牛島信明訳『ドン・キホーテ前編2』
- セルバンテス 牛島信明訳『ドン・キホーテ前編3』
- セルバンテス 牛島信明訳『ドン・キホーテ後編1』
- セルバンテス 牛島信明訳『ドン・キホーテ後編2』
- セルバンテス 牛島信明訳『ドン・キホーテ後編3』
いずれもアマゾンへリンク
また、2001年発行なので、文字と文字の間隔も大きめで目にも優しい。