『ドン・キホーテ』、すなわちライトノベルを読みすぎた男~元祖中二病小説~

雉(Kiji)
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ドンドンドン!ドンドンドンドン!
ドンキ~ホ~テ~♪
だケーン!
なんだなんだ?なんの歌だ?
鳥人間(Birdman)
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雉(Kiji)
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安売りのドン・キホーテのキャラクター「ドンペン」の続投が決まったので、ついつい歌ってしまったんだケーン!
うん、「ドン」が一つ多いし、原曲はもっと穏やかだぞ。
鳥人間(Birdman)
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そんなことより、そもそも
『ドン・キホーテ』を読んだことはあるか?
鳥人間(Birdman)
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雉(Kiji)
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ケーン?騎士のおじさんが風車を巨人だと思い込んで突進する話じゃないのかケーン?

わざわざ読んだことはないだケーン。どうせ、昔の物語だからつまらないだケーン!

ふむ、そういう人は多いな。
じゃあ、現在でいうライトノベルを大量に読み込んだ地主が、自らを異能力者だと思い込んで、全国で大暴れする話だと言ったらどうだい?
鳥人間(Birdman)
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雉(Kiji)
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く、詳しく聞きたいんだケーン!

よしきた、じゃああらすじを話そうか。
鳥人間(Birdman)
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導入で作者セルバンテス登場、さっそく注釈のでっち上げを始める

まず、物語の序文。作者がこの物語を葬り去ろうとするところから始める
鳥人間(Birdman)
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雉(Kiji)
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どういうことだケーン?
当時の書物は巻頭にソネットや諷刺詩などをつけたり、注釈でプラトンなどの哲学者を引用することで、書物に権威をもたせ検閲を通っていた。だけどセルバンテスはどのような作家を引用すればよいかわからないし、貴族や聖職者などに詩文を作ってもらうコネもない。だから、『ドン・キホーテ』を発表せずに放り去ろう、と友人に話すんだ
鳥人間(Birdman)
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雉(Kiji)
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ケーン!第1話で基地壊滅レベルのサスペンスだケーン!
それで、『ドン・キホーテ』の面白さを知っていた友人は言うんだ。
だったら、でっち上げればいい
鳥人間(Birdman)
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雉(Kiji)
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ケーン?どういうことだケーン?
つまり、引用については、誰でも知っているようなことわざを聖書などから引用して、そのことわざを言ったとされる人物の名を欄外につける。
そして、参照文献一覧についてが奮っている。

AからZにいたる作者の名前をざらっと並べている本を探し、それをそのまま転記する。

それぞれ、本文を引用してみようか。

鳥人間(Birdman)
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さて次に、本の最後に注釈をほどこすという件だが、それは次のようなやり方をしておけば間違いないさ。例えば、君の本に誰か巨人が登場するとしたら、その名をゴリアテということにしておく。すると、君はもうそれでなんの造作もなく、大した注釈をつけることができる。こうすればいいんだ。「巨人ゴリアテ、もしくはゴリアトはペリシテ人なり。牧人ダビデ、テレビントの谷において、石投げ日もによるしたたかな一撃を見舞ってこれを殪(たお)せり。≪列王記≫の示せるところによる」としたうえで、≪列王記≫の章を探して書き添えておくのさ。
セルバンテス 牛島信明訳『ドン・キホーテ前編』pp19-21(アマゾンへリンク)

さて次に、他の本にはあって君の本にはないという、参照文献の著者一覧の件にうつるとしよう。この問題の解決はいたって簡単だよ。だって、君がさっき言ったような、AからZにいたる作者の名前をずらっと並べているような本を一冊探してくれば、それで用は足りるんだから。つまり、そこに載っているアルファベット順のリストを、そっくりそのまま君の本に拝借するってわけさ。もっとも、もともと君はそんなものをほとんど利用しちゃいないんだから、それがいかさまだってことがすぐにばれるかもしれないが、ばれたところでいっこうにかまいやしない。ひょっとしたら、君の何の変哲もない単純な物語にも、これほど多くの作家が参照されているのかと思い込むようなおめでたい人間もいないともかぎらないしね。(中略)だいたい君が執筆にあたって本当にそうした作家連を参考にしたかどうか詮索しようなんてもの好きはいやしないから、大丈夫だよ。
セルバンテス 牛島信明訳『ドン・キホーテ前編』pp22-23(アマゾンへリンク)

雉(Kiji)
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ケーン……なんというか、攻めているケーンね。
ん?でもこれはレポートにも使えるのでは?
うむ、出来の悪い学生がマネするといけないが、面白いでしょ。
さらに面白いのが、セルバンテスの意図だね。「騎士道物語」というふざけたものが世間と大衆で人気になっているのでその人気を打倒するためにアンチ騎士道物語である『ドン・キホーテ』を書いた、というのさ。
鳥人間(Birdman)
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雉(Kiji)
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ケーン!?今でいえば、ライトノベルが人気なので、それを打破すべくライトノベルを書いた、みたいな感じだケーンか?
マフィアを倒すためにマフィアになる!黄金の精神を感じるだケーン
フフフ、奇しくももセルバンテスの小説は「スペイン黄金世紀(wikipediaへリンク)という時代区分に属しているよ。
どうだい、読んでみたくなっただろう。
鳥人間(Birdman)
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雉(Kiji)
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読んでみるだケーン!
さっそく図書館に予約を……
あれ?翻訳も色々あるケーンね。どれがいいだケーン?
ドン・キホーテは長い小説だからね。
抄訳と言って一部分だけを訳した短いものもある。

だけど、全訳が一番いいと思うのでまずそれを紹介する。

鳥人間(Birdman)
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ドン・キホーテおすすめの翻訳~岩波文庫牛島信明訳

この牛島信明訳のドン・キホーテは文章もこなれていて読みやすい。
また、2001年発行なので、文字と文字の間隔も大きめで目にも優しい。
鳥人間(Birdman)
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雉(Kiji)
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ケーン、まずは図書館で借りてみるケーン。
ちなみにアマゾンなら電子書籍で島村抱月訳なんてのもある。
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あと、牛島信明以後の新訳も
鳥人間(Birdman)
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ともかく、まずは牛島信明版の前編を読んでほしい。
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雉(Kiji)
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ケーン!じゃあ雉が読んだら感想を話しにくるんだケーン!
いいね、長期連載『ドン・キホーテ』感想
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近日公開!だケーン



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