
雉へ
骨法に関する恐るべき歴史的書物が見つかった
現物とレビューを送るからブログにアップロードしてほしい鳥人間




鳥人間はついに、現実と小説の区別もつかなくなってしまったケーンか?まずは裏表紙のあおりを見るんだケーン。
応仁の戦乱で荒れ果てた京の町では、事件が頻発していた、荷は襲われる、倉は破られる。顔や体に灰を塗りたくり、烏天狗の仮面をつけた奇妙な風体の集団は、店の戸を打ち破って乱入し、家財を奪い、女を犯した。淫法、外法を操り、京の大商人ばかりを狙う「鬼界衆」の正体は?背後には堺の豪商・湯川宣亜の影……。古代から連綿と続く秘伝の武芸「骨法」の継承者、堀辺牙王丸の拳が炸裂する。
火坂雅志『骨法秘伝』徳間文庫1997

読むべきは初刊本後書き、作者骨法を布教する
内容は骨法の伝承者である堀辺牙王丸が、悪の組織的なものと戦うというもので、特に読まなくてよい。
火坂雅志は、大河ドラマの原作『天地人』を書いた人でもあるのだが、その作者が骨法という格闘技の存在を肯定的にとらえている、ということが後書きでわかるんだ。
つまり、初刊本の1980年代後半における、世間の骨法受容状況がわかる、歴史的文献なんだ。



初刊本あとがき
骨法—-。
それは、武術史における永遠のロマンです。
はるか古代から脈々と伝えられながらも、決して表面に出ることがなかった壮大な地下水脈、それが骨法にほかなりません。
この幻の技ともいうべき骨法の話を伝え聞いた私は、古武道会の権威とされる老学者に本当にそんな秘密の武術が存在するのかどうか、たずねてみました。
(中略)
「じつは、講道館柔道では五段以上の者に、骨法を教えているんだ」
(中略)
いまやスポーツ化して、すっかり牙を抜かれてしまった感のある柔道ですが、じつは人知れず、そんな殺人技の秘伝伝授の儀式が行われていたとしたら、そして伝授された者はそれを秘して誰にも語らないとしたら—-。
考えただけで背筋がぞくぞくするような話ではありませんか。
と言うわけで、骨法についてはいろいろ興味深い秘話があるのですが、折々話すこととして、ここではあえて語りません。
喧嘩芸骨法師範、堀辺正史氏の温かいご厚情、感謝いたします。
一九八九年 雪待月
火坂雅志『骨法秘伝』徳間文庫1997 pp.272-274
その後、世間で日本武道だと認知されている柔道にも、骨法が伝わっている「らしい」、という話を入れることで、骨法が歴史に埋もれた武術である、というアピールがされているね。


プロレスラーのアントニオ猪木が骨法道場に通って、骨法の内容はともかく、名前はある程度世間に知れ渡っている状態の小説の発売だね。


1.作者が骨法ブームに乗っかろうと小説を書いた
2.骨法側から出版社に小説を書いてくれと依頼した
3.「1」と「2」の合わせ技
しかしながら、確定的なことはわからない。
そういった作者の戸惑いが感じられる文章だね。

他流試合に骨法惨敗後に文庫版発行
骨法が強いと思われていた時代は確かにあった。しかし、1996年に骨法が他流試合を経験、骨法の2大エース、大原、小柳津がいずれも惨敗。
ここから、世間は骨法を見放していく。
ところで、この本の文庫本は1997年発行だ。


文庫版あとがき
筆者は、デビュー当時、格闘技を好んで書いた。時代小説の世界では、剣をつかう剣豪小説はあっても、素手の格闘技を書いた作品はほとんどなかったため、新天地を切り開いてみたいと思ったからだ。本書も、その成果のひとつである。
あらためて読み返してみて、牙王丸の荒々しい生命力に我ながらおどろいた。
一九九七年春 火坂雅志火坂雅志『骨法秘伝』徳間文庫1997 p.275
骨法惨敗の後に書かれた文章だと思うと、趣深いね。


それにしても、当時の骨法に対する掌返しがよくわかる、歴史的文献であることは間違いないケーン。
【骨法三部作】
『喧嘩芸骨法』↓すべての始まり、ここから幻想は広まったんだケーン
『骨法の極意』↓『喧嘩芸骨法』が小説だとすれば、この本は技術の概説本だケーン。掌打の打ち方、蹴りとのコンビネーションなどが記載。
『骨法の完成』↓旧約(『喧嘩芸骨法』での盛りすぎた設定)を虚構だったと宣言したんだケーン。新時代の格闘技の完成を告げる(なお、その後もスタイルは変化する模様)、DVDもあります
『ザ・喧嘩学』『格闘新書』↓表紙からもわかる通り、三部作にハマった人たち向け。堀辺師範のありがたい言葉が載っているんだケーン。しかし、格闘技に関する考察は今も一読の価値ありだケーン。
強い骨法が見られるのは、『LIVEALIVE』だけ!スーパーファミコンのカルト的名作がswitchで遊べるんだケーン!